＜●マンチェスター●＞
夕方、マンチェスターに着いた我々は、日本料理店に入る。今日は元旦、少しでも正月気分を味わうために日本料理を食べることにしたのだ。
しゃれた店の名前は「サムシ」、サシミをもじったものか。一人１７ポンドのコースにサシミを注文し、ビールを頼む。キリン「一番絞り」である。
日本より相当高いが、息子と異国で祝う正月であり何物にも代えられない。料理は、握りすし、テンプラ、から揚げなどである。日本酒も注文した。久しぶりに飲む日本酒はおいしかった。息子も満足そうであった。
＜日本料理＞
寮に戻る。寮はセキュリティが厳重であるが、息子と一緒なら自由に出入りできる。ここで３泊する予定である。
途中のコンビニで買ってきた缶ビールを飲み床に横になる。寝具は無いが暖房が効いているので平気である。
今回の旅であった様々できごとが頭の中を過ぎる。いろいろあったが、無事帰れてよかった。
＜寮＞
明くる日、大学に行き、教授と会い、あいさつする。日本から持ってきたみやげも渡す。これが今回の旅行のメインの目的である。教授はスペイン人で、気さくに応じてくれた。
実験室、研究室にも案内してもらう。息子は生物専攻であり、マウスを使ってアルツハイマーの遺伝子の研究をしている。ＤＮＡの検出器らしきものなどが並んでいる。
午後からは、私一人で近郊を観光ということで、鉄道で３０分ほどの距離にあるピークディストリクト国立公園に行く。ここは、イングランドらしい美しい丘陵が続く山岳地帯である。しかし、やはり予想どおりシーズンはずれでおまけに、天気も今にも雨が降りそうでよけいに寂しい。しかし、この時期のイギリスの天気はどうしてこのように悪いのだろう。
国道沿いに丘綾地帯を２時間ほど歩いて３００ｍほどの丘に登る。
＜マンチェスター大学構内で＞
夜は息子と一緒に、今日は中華街で中華料理にした。マンチェスターにも中華街があり、おなじみの中華門もある。その中の一件には入り、コース料理を注文する。おいしいが後から後からいろいろでてきて、しかも量が多く、最後は残す。この夜は息子の友達（日本人）が泊まりに来て、３人でざこ寝である。友人は東京○○大の学生で、私費留学しているという。その友人にネットで安いロンドン行きのバスを紹介してもらい購入する。わずか、７ポンド（１５００円）である。通常なら安くても２０〜３０ポンドはかかるのに、何か裏があるのかと思うが買ってみる。
イギリスでは最近は、切符はネットで買うのが常識みたいになっていて、人件費がいらないから特価の切符もあるようだ。
＜鉄道橋＞
明くる日もヨークなど周辺の観光地を一人で回る。まずは、鉄道でリーズまで行き、セトル・カーライル鉄道に乗り、ヨークシャー・デイルズ国立公園を散策することにした。鉄道ははイギリス特有の美しい牧場と町並みの風景の中を走る。途中で乗り継ぎ１時間ほどでリッブル駅につく。ここの駅は小さな鉄道博物館になっており見学する。おめあての陸橋まで、風がビュービュー吹きすさぶ中歩き写真を撮る。しかしここもシーズンオフ、観光客は私一人である。
帰りは、ヨークまで足をのばし、ユークミンスター大聖堂を見学。ぐるりと城壁で囲まれた、歴史ある都市は、イングランド中部を代表する観光地である。
＜ヨーク大聖堂＞
最終日の夜は、やはり英国、ステーキにした。ピカデリーガーデン沿いのしゃれたレストランに入る。ここらあたりはマンチェスターで一番の繁華街であり、大勢の人出がありスケートリンクもできていた。
夜、荷物を整理させ、半年前、２つ持ってきたトランクのうち一つを持って帰ることにした。これも今回の目的のひとつである。
そして次の日、早朝、暗い中、息子にトランクを引いてもらいながら、バスターミナルに行く。長距離バスのターミナルには早朝から大勢の人がいた。心配していた格安チケットは有効で、ここで息子とはお別れである。バスが出るまで見送ってくれた。あと半年、留学生活にもすっかり慣れた様子で、十分やっていくことだろう。
バスは一番前の席で、まだ真っ暗な時分から日の出、そして昼前まで、変わりゆくイングランドの美しい風景を堪能させてもらった。これで７ポンドとは安い！。
約５時間でロンドン、ビクトリアコーチステーションに着く。すぐにトランクを引きながら宿探し。少し手間取ったが、駅に近いところにとっていた安ホテルはなんとか見つかったが、なんと満室だという。予約後、訂正のメールを入れたというが、そういえば文字化けしたメールが来ていた。幸い近くのもっと安い２０ポンドのホテルを紹介してもらう。
午後、歩いてビッグベンなどを見ながらワーテルロー駅まで出て、ソールズベリーまで鉄道で行く。お目当ては世界遺産ストーンヘンジである。
＜ストーンヘンジ（ソールズベリー）＞
約２時間、３時ごろソールズベリーに着く。バスターミナルまでタクシーをとばすが、最終バスが出たあとだという。どうしよかと思ったが、せっかく来たのだからタクシーを使うことにする。運良く捕まえたタクシーと交渉。３０ポンドでＯＫということになり３０分ほどの距離のストーンヘンジまで急ぐ。
運転手は気さくな人で、少し会話する。４時すぎに着いた。そこは公園になっていて、あたりには何も無い草原にポツリと遺跡が立っているという感じである。観光客に混じりゆっくりとぐるりと１周する。遺跡の中には入れない。日暮れ前で、寒かったが前から見たかった世界遺産が目の前にあり、満足であった。
７時ごろロンドンに帰り、今度は大英博物館まで迷いながら歩く。やっと閉館まぎわに着き、ロゼッタストーンなどを見学。以前来たときより施設が新しくなっており驚く。
夕食は宿の近くまで帰り、イタリアンレストランで食べる。ここまでは順調だったのだが、最後に宿までの道が分からなくなって深夜の町をうろうろする。同じような通りがあって錯覚していたのだが１時間くらいウロウロした。途中、黒人が近づいて来てヒヤッとする。何かと身構えたらタバコの火を貸してくれという。「ソリー！」といって逃げるように去る。
その後、イヌを連れた女性の通行人に聞き、やっとのことで宿を発見。やれやれ、最後までいろいろある旅だ。
明くる日、ヒースロー空港から帰国。直行便なので楽だが、それでも１３時間くらいかかる。
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